本物のフェミニスト

 今回で5回目か。

 もうすぐ4歳になる次女の入院に、付添人として一緒に入院することになった。2日前の晩に家で聴診器を当てるとゼコゼコと肺から嫌な音がして、念のため痰を吸引してもらおうかと主治医のいる総合病院に掛かったところ、事態は急転直下。とんでもない。血中酸素濃度は90%から上がってこないし、検査の結果でエンテロウィルス、パラインフルエンザ、RSウィルスの3つに感染していることも判明した。こんなにも気付けないものかと、絶望する。出生から今に至るまで、不健康が常態化してる次女は息苦しさや痛みがあっても元気に日常生活を送れてしまう。だからいつも騙されて、対処が後手に回る。

 診察を受けた時、医師の様子から入院以外に選択の余地は無かったし、当たり前のように看護師は入院手続に移行していた。働いていたとしても、急な入院に耐えられると思われている。

 それって、ママだから?

 もちろん入院するしかない。子供の体調がこれほど悪いのに、それより優先してやるべきことなんてこの世にはきっと無いのだろう。今まで4回やってきたように、突然、仕事を休む。前回の突発的な入院から半年以上も時間が空いてしまったので、この精神的な辛さや悔しさや不甲斐なさを少し忘れていた。うっかり仕事を本気でやってしまっていた。重要な、時限性の高い、関係者の多いプロジェクトを任されてしまっていた。

 でも、それは関係ない。

 鈍れ、感性よ。消せ、罪悪感を。

 全ての仕事を誰かにぶん投げるしかない。

 そして今夜。入院2日目。普段忙しいから、いつも片手間の育児だから、全ての時間を子供に捧げることがあってもいいよね。まだ3歳の次女の顔をじっくり見ておこう。

 4組が入れる大部屋に3組が入っていて、うち以外の親子はパパが付添人で、大部屋にいびきが響き渡っている。付添人がママだっていうのは、私自身の偏見だったんだね。笑いが込み上げる。もう令和なんだから、男女関係ないよね。そして、ここにいるパパ達は私とは比べ物にならないくらい仕事との向き合い方や自分のアイデンティティーと戦っているのだろう。

 いびき、うるせーけど。