今日

30年後には 静かな朝と 静かな夜がくる 誰にも話しかけられずに終わる そんな一日もあるだろう そのことが 今より不幸とか 今より孤独とか そういうことではなく ただもう明白な事実として ある そしてその先には静かな死があって 目を閉じて この世界とバ…

お前とは仕事以外では話さない

付添入院7日目。 精神的にも肉体的にも限界となり、遂にテレビ電話越しに頭を掻きむしって泣きながら発狂(但し、大部屋なので音量はミュート)、それを見た夫が真に状況を理解して1日だけ付添入院を入れ替わってくれた。「くれた」なんていい妻ぶる必要は…

本物のフェミニスト

今回で5回目か。 もうすぐ4歳になる次女の入院に、付添人として一緒に入院することになった。2日前の晩に家で聴診器を当てるとゼコゼコと肺から嫌な音がして、念のため痰を吸引してもらおうかと主治医のいる総合病院に掛かったところ、事態は急転直下。と…

ぴーえむえす

ご機嫌な私なんて、1ヶ月にせいぜい3日。あとは不機嫌に生きてます。まず生理1週間前から情緒不安定で、生理中は当然体調が不安定で、生理後は貧血が加速して情緒も体調も底辺。そこから浮かび上がるのにも時間を要して、結果3日くらいしか残らない。そ…

全部、ロックだった。

29歳の春。 シンガポールへの一年間だけの赴任。 もう10年前か。10年経って、その間に何度も思い出した。フラッシュバックする場面はどれも鮮明で、後悔と慕情が混在する複雑な感情でそれらをただ眺める。私にとってあの日々は、人生で一番情けない日…

命の順番

命の順番について考える。 生きている人間には全員番号が振られていて、その順番に死ぬ。 「ママも、いつか死ぬの?」 保育園からの帰り道で娘にそう聞かれた日から、いつか自分の人生が終わることを強く自覚するようになった。もしかしたら、もう折り返して…

一瞬で、永遠で、

自分は今、子育てについては人生の中で一番幸せな時期にいるという確信がある。 歳を取って振り返った時に「気が付かないうちにあっという間に終わってました。一番幸せな時期は自覚なく過ぎていくものですね」なんて言うつもりはない。今だと思う。一瞬で、…

違う季節

長女が小学校に入学してからもうすぐ1ヶ月が経とうとしている。急速に世界が広がって、それに身体が順応していくスピードは驚異的。 この時期、どこに行っても大人は同じ質問をする。それに対して長女は一言しか返さない。 「学校、楽しい?」「いや、楽し…

その曲線

小さく生まれた次女は、予期せぬ急な入院(肺炎、喘息、感染症など)を除けば通院ペースは2ヶ月に1回くらいまでには落ち着いてきていた。 安心していた矢先に能面女医がまた新たに憂鬱なことを言い始めた。 「成長曲線に追いついてこないので、そろそろ成…

彼女が泣くのは

おやすみなさいと笑って寝たはずなのに、暗さに目が慣れたころ、長女が寝返りを打って、しばらくするとその肩が小さく震えていることに気づいた。私は声をかけずにしばらくその背中を眺めてから、起きていることを伝えるためだけに背中にそっと手を当てた。 …

正論

私の会社では数万人が働いている。 老若男女それぞれが、それぞれの事情を抱えて、表向きには平静を装いながら、とても礼儀正しい距離感で、朝から晩まで働いている。 この場所には正しいことしかない。 正しい組織の中で、正しい手続が定められて、正しい事…

出口しかない部屋

私には娘が二人いる。一人は健康優良児で、もう一人は、残念ながらそうじゃない。出生の時に週刊少年ジャンプくらいの体重しかなく、長生きしないとは言われなかったが、その代わりに長生きするとも言われなかった。 結局、出産から半年後、退院日は急に決ま…

K氏の風景

職場に一人だけ気を使わずに話せる人がいる。 その人(以下、K氏)が私に対してどのような感情を持っているのかは知らない。興味もない。別に嫌われていてもいい。マウントの必要が無く、純粋に会話を楽しめる相手だから居心地がいい。 彼は60歳で、読書…